タツ・タクマ・タツヤ・タケへ贈る。
「失敗から多くを学んだ」「失敗の中に成功のヒントが隠されている」みたいなことがよく紹介されている。
そうか失敗しいもいいのかと安心して、大事な仕事で本当に失敗すると単に罵られるだけで、ひどい場合はクビになる。
成功者の「輝ける失敗」と、「ただの失敗」の間には、埋めようもない溝がある。
~省略~
ついだまされてしまうのだが、失敗そのもに価値があるわけではない。
ほとんどの失敗は「単なるミス」で、準備不足と無能が露わになり、信頼が崩れ叱咤されるだけだ。
得るものは何もない。
何かを得ることができるのは、挑戦する価値があることに全力で取り組んだが知識や経験や情報が不足していて失敗した、という場合だけだ。
そもそもたいていの人は、挑戦する価値のある機会に遭遇できない。
何に挑戦すればいいのかもわからない。
挑戦する何かに出会うのも簡単ではない。
そこから何かを得ることができる失敗をするためには、挑戦できる何かと出会うことが前提となる。
幻冬舎・著・村上龍「無趣味のすすめ・失敗から得るものより」抜粋