全米オープン決勝を観ました。
大坂なおみ選手が全米オープン2年ぶり2回目の優勝を果たしたました。
このゲームを見て素直に感動と勇気をいただきました。
ご承知の通り、大坂なおみ選手は1回戦から過去黒人差別により亡くなった方の名前が書かれたマスクを決勝まで7枚用意してマスクを着けて入場しメッセージを発信し続けました。
8月末のウエスタン・アンド・サザン・オープンにおいても欠場表明をして人種差別抗議のメッセージを発信しました。
そんな中で、黒人初の全米優勝を果たしたアーサーアッシュ選手の名前を冠したアーサーアッシュ・スタジアムでの全米オープン優勝は本当に胸を打つものがありました。
まさに有言実行の快挙だと思います。
2年前に女王セリーナ・ウィリアムズを破り初優勝したときにはブーイング受けた場所でもあります。
その同じ場所で、今回はおそらく大声援(テレビ越しで)を受けて2度目の優勝を成し遂げたのですから因縁の全てが繋がっていることを感じました。
今さらながらかもしれませんがスポーツと政治はデリケートな関係です。
それは世界でも、日本でも、本当に小さな地域であってもです。
とても難しいバランスです。
ですからスポーツ選手が大坂なおみさんのような行動をするにはとても勇気がいることだと思います。
彼女のような行動ができる選手に、私は尊敬の念がやみません。
おそらく大坂なおみ選手は自分の損得ではなく、政治すら考えず、未来の為に、社会の為に、間違っている事は間違っていると言うべきだとひとりの人間として行動したのだと思っています。
人間は理屈ではなく感覚で違和感や間違っている事を感じられる能力が備わっていると思います。
その能力を研ぎ澄まして行くには様々な経験を積んでいくこと、沢山の人に出会い、学び、勉強していくことによって洗練されていくのだと思います。
育成年代においてこの感性を磨いていくことは私はとても大切な事だと考えています。
逆に言えば、そこを感じさせない育成は果たして育成と呼んでよいのだろうかとさえ思います。
スポーツの指導者が子ども達に政治的メッセージを誘導することは絶対にいけないことです。
自分が気に入らなかったら試合放棄をするのも論外です。
上辺だけの単なるパフォーマンスとしての真似事を学んではいけません。
そこを履き違えてしまうと選手が自己を正当化するだけになってしまいます。
本当にデリケートです。
今日の全米オープンを観ていて、大坂なおみ選手がコートでもそしてコート以外でも1人の人間としての理性を持って常日頃から社会と繋がっている事を意識して戦っていたからこそ第2セットからの見違えるような心の立て直しが出来たのだと思います。
子ども達の育成をしている私にとって、やはり、育成とは、道徳を磨く事、社会と繋がっている事を心の奥に指導者が持っている事は必要であり、自分の事だけを考える自己中心的な勝利主義の選手育成をしてはいけないと改めて実感した大坂なおみ選手の試合となりました。
そしてスポーツとは人々に感動を届け、勇気づけることができる素晴らしい事であることも再確認できました。
私のクラブも社会と今以上に繋がれるクラブになれるように毎日子ども達の笑顔と保護者さんと、そして地域の方々の笑顔を増やしていきたいと思いました。
スポーツ全てが大好きです。